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焼肉屋さんではさまざまなお肉を楽しむことができますが、中でもやはり牛肉が大人気です。牛肉には黒毛和牛や十勝牛・神戸牛などさまざまな名前を冠した牛の品種・銘柄があります。ここではそれらの牛肉の種類や特徴を解説していきます。
焼肉屋さんで食べることができる牛肉にはさまざまな名前を冠したものがあります。「品種」や「産地」「ブランド」などを表す名前を冠した牛肉もありますが、まずはじめに知っておきたいのは肉食用として生産される牛「肉用牛」の種類です。「和牛」「交雑種」「乳用種」の3つが肉用牛の種類として呼ばれている名前であり、「乳用種」も牛肉として食べることが可能です。また、和牛は国産牛と同じと思われがちですが、これも実は違う意味の言葉として使われています。
「和牛」と呼ばれる牛は、特定の4種の牛、あるいはそれらの交雑種のことをさします。
「黒毛和種」は、よく「黒毛和牛」と呼ばれるもので、聞いたことがある方も多いでしょう。誰もが名前を聞いたことがあるようなブランド牛はこの黒毛和種であることが多く、ほとんどのシェアを占めています。特徴としては霜降りの肉質と、とろけるような味わいがある点です。
「褐毛和種」は「あかげわしゅ」と呼びます。「あか牛」とも呼ばれる牛であり、熊本系と高知系の2つに大別されます。丈夫な身体を持っているため放牧に適しており、特徴としては赤身とサシのバランスが優れているという点にあります。
「日本短角種」は、北海道や東北などの寒い地域で飼育されている牛の品種です。放牧に向いているため飼育の手間がかからず、夏は山・冬は里で過ごすという「夏山冬里方式」で育てられています。この牛の特徴としては赤身が多いことと、脂肪分が少ない点・高たんぱくな肉質という点があります。
山口県で生産されている「無角和種」は和牛の中でも飼育数が少なく、とても希少な品種です。黒毛和種に似た見た目ですが名前の通り角がなく、黒毛和種には肉質が劣りますが程よい霜降りが魅力的です。
「乳用牛」と聞くと牛乳のイメージが強いですが、実は食べることができます。食べられる乳用牛にはどのようなものがあるか紹介します。
「ホルスタイン」は「牛」と聞いた時に誰しもがイメージしやすい白黒の見た目をした牛です。基本的には牛乳を生産するために育てられていますが、食用としても流通しています。圧倒的な乳量を持つ牛種であり、世の中に流通する牛乳のほとんどがこのホルスタインのものです。
「ジャージー牛」というと耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。乳量はホルスタインに劣りますが、濃厚でコクのある牛乳が人気の牛種です。かわいらしいルックスやその他乳製品も人気ですが、牛肉として食べることも可能です。あまり流通してはいませんが、見た目の悪さに反して美味しいという評判もあります。
「交雑牛」は異なる牛種をかけあわせた牛のことで、日本では主に黒毛和種とホルスタインの交配によるものが流通しています。技術の進歩と発展により一般化した肉用牛であり、「国産牛」として流通する牛肉のスタンダードにもなっています。
欧米では肉食の歴史が長く、需要も多くなっています。そのため今日までさまざまな優れた品種の開発が進んでいますが、現在おいしい肉用種として飼育・生産されているものは「ブリティッシュ・ブリード」と呼ばれています。主にイギリス系やフランス系の牛がこれに該当します。
イギリス原産の牛であり、角がなく褐毛で顔だけが白いという見た目の特徴をもっています。肉質は粗く、サシが少ないため赤身が多いという特徴があり、乾燥・寒暖などの環境にも強い身体を持っているため、育てやすいと広く飼育されています。
スコットランド原産の牛であり、アメリカの肉用牛における約4割はこの牛だと言われています。小柄な身体で角がなく、黒毛という見た目の特徴を持っており、肉質はサシが入りやすくて柔らかいため非常に美味しいのが特徴。この牛の出現によって「煮込み」だけでなくステーキなどの「焼き」料理も広がったといわれています。
イギリス原産の牛で、名前の通り短い角を持っています。比較的小柄な身体ですが、肉付きがよく、典型的な肉牛として知られています。身体がやや弱いため、繊細な管理と良質な飼料が必要な牛です。
フランス原産の肉専用種であり、角がありクリーム色の体毛をしている牛です。イギリスやアメリカ・オーストラリアなどで重宝されており、発育がよく赤肉量が多いという特徴を持ちます。脂肪が少なくその肉汁はコンソメスープのようとも称されています。
オーストラリア島南部のマレー地方が原産の牛で、角がなく灰褐色の被毛をもちます。ショートホーン種とアバディーンアンガス種を交配して誕生したといわれており、日本には昭和40年ごろに入ってきたとされています。
アジア原産の牛であり、日光を反射するために短い体毛をもっています。汗腺が多いため、気温が高くて湿度が高いところでも飼育することができ、病気にも強いことで有名です。オーストラリア北部の熱帯地域でも大規模飼育がされている牛です。
グレインフェッドビーフとは、牧草を食べて肥育した後穀物で育てられた牛のことをいい、「穀物肥育牛肉」とも呼ばれています。穀物を食べて育った牛は肥育期間が長いほどサシが入り、味わいが優れているといわれています。
グラスフェッドビーフは日本で多く流通しているような牛とは異なり、牧草のみを飼料として育てられた牛のことをいいます。その育てられる環境や赤身の多い肉質であることから、ヘルシーな牛肉として注目を集めています。
和牛の登録事業は大正9年から10年にかけて各県で始まり、現在では「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」の4品種が各家畜登録機関に登録されています。肉質や肉量を向上するため、それぞれの和牛の能力を見極めることを目的とした制度です。
牛トレーサビリティ制度とは、牛が生まれてから店頭に並ぶまでの履歴を後追いすることが可能なシステムであり、生まれた子牛の出生届を提出することで10桁の個体識別番号が印字された耳標を付けることができます。
国産牛は日本で飼育・加工された肉のことをいいますが、外国で飼育した牛を輸入してから日本で飼育し、加工した場合にも国産牛として表示できます。和牛は日本の在来種をもととした食肉専用の牛をいい、品種を指して呼ばれるため必ずしも国産牛であるとは限りません。
銘柄牛・ブランド牛は特定の品種の牛を指すものではなく、それぞれのブランドを推進する団体が定めた定義に従った飼育や格付けがなされます。ただし、中には地理的表示法に基づく登録がされている牛も存在します。
兵庫県産の黒毛和種の和牛のうち、一定の格付け基準を満たした牛を但馬牛といいます。赤身と脂のうまさが絶妙なバランスを保っており、食感や甘み・香り、味わいなどのすべてが世界中のグルメから絶賛される、大人気な牛肉です。
岐阜県の飛騨地方で肥育される黒毛和種で、豊かな自然で手間暇かけて育てられる実績あるブランド牛です。しっかりとした霜降りで綺麗なピンク色の肉質が特徴であり、しつこすぎない脂身の風味や筋繊維の柔らかさからくる繊細な味わいが魅力です。
山形県内で育成・肥育され、一定の基準を満たし認められた肉牛です。夏は暑くて冬が寒く、昼夜の寒暖差が大きな風土で育てられた山形牛は、肉のきめが細かく食味がおいしい牛肉と評されており、その旨味の秘密は脂質にあるといわれています。
宮崎県内で肥育された肉牛であり、定められた基準を満たした牛が仙台牛として販売されます。口当たりがよくやわらかであり、まろやかな風味と豊かな肉汁が美味しさの秘密です。宮城の自然で育まれた仙台牛は、脂身と赤身の絶妙なバランスと上質な旨味も大人気となっています。
宮崎県内で生まれ育った黒毛和種で、一定の基準を満たした牛が宮崎牛と呼ばれます。その豊潤で奥深い味わいは国内外でも高い評価を得ており、上質な肉質ときめが細やかなサシは口に含むとほのかな甘みと芳醇な香りが広がります。
佐賀県特有の穏やかな気候で育てられた佐賀牛は、定められた基準をクリアしたもののみその名を冠することが許されます。ストレスがかからないよう配慮しながら飼育されており、柔らかい赤身に細かいサシが入った見事な霜降りが特徴です。
ハワイとほぼ同じ緯度に位置する石垣島の周囲で飼育される黒毛和種であり、この大繁殖地帯で安心安全な石垣牛の生産が行われています。温暖な環境で育った肉質は脂身が多すぎずさっぱりとしており、甘みのある風味豊かな味わいが特徴です。
松坂牛生産区域での肥育期間が最終・最長であり、黒毛和種の未経産雌牛で登録された牛だけが名乗れる松坂牛。甘く上品な香りとヘルシーで良質な脂肪が特徴ですぐに溶けてまろやかな食感が大人気で、全国的にも広く知られています。
京都府内の肥育牛生産者が育てる黒毛和牛のうち、JAグループが生産から流通までを一体的に取り扱う牛肉が「京の肉」と呼ばれています。環境変化のストレスなくのびのび育てられることから肉質がよく、雑味がない豊かな風味を味わうことができます。
神戸牛は「神戸ビーフ」とも呼ばれ、世界的にも知名度の高い牛肉です。この神戸ビーフの基準を満たしている牛は、但馬牛とも名乗ることができます。サシが筋肉の中に細かく入っており、他の和牛と比べてあっさりしているため胃もたれしにくいと言われています。
屈指のブランド牛として全国的に評価されており、山形の自然豊かな環境とたゆまぬ生産努力によって築かれた牛です。きめ細やかな霜降りと香りのよい脂、そして甘みのある赤身が特徴であり、口に入れた瞬間柔らかな食感と上質な脂の香りが広がります。
日本三大和牛の一つといわれており、400年以上の歴史があります。肉質はきめが細かく、脂が甘くて口の中でとろけるほどの美味しさといわれています。脂が溶け出す温度である融点が低いため、胃もたれすることなく食べられる牛肉です。
岩手県奥州市前沢に住所を持つ個人や法人が肥育した牛であり、岩手ふるさと農協を通じて販売した黒毛和牛が「前沢牛」として流通しています。しっかりとした甘みと濃厚な旨味、そしてとろけるような舌ざわりが特徴的な牛肉です。
阿蘇の草原で放牧に適している牛として改良された牛であり、丈夫な身体と温厚な性格が特徴です。赤身に濃縮された旨味とそのヘルシーさが特徴であり、和牛本来のおいしさを楽しめるため幅広い年齢層の方から大人気の牛肉です。
高知県内で改良された褐毛和種・高知系の通称であり、放牧適性が高いため中山間地での耕作放棄地対策にも役立つといわれています。赤身とサシのバランスにそのおいしさのポイントがあり、ヘルシーながらキレとのど越しがよく独特の風味を生み出しています。
国内流通量がごくわずかな知る人ぞ知る牛であり、現在鳴門市内の牧場にて生産されています。通常はサプリメントを用いて飼育されるところを「すだち」に変更したことで、歯ごたえがあり質の高い牛肉となっています。
東北生まれの和牛品種であり、夏山冬里方式で育てられる牛です。脂肪分の少ない赤身で高たんぱくな牛肉となっており、黒毛和牛よりも脂肪分が少なく、ヘルシーながら旨味のもとであるアミノ酸を多く含んでいます。
北海道の中央南端に位置する「えりも岬」で育った日本短角種の牛であり、厳しい自然環境に耐え牧草などの栄養が少ない飼料でも育てることができます。短角の旨味をそのままに、ある程度の穀物肥育も行うことで脂肪分なども程よく取り入れた牛肉です。
焼肉屋さんで食べられる牛肉にはさまざまな種類や名前が付いており、「どの肉がどう違うの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。このサイトでは焼肉に関するさまざまな知識に加え、名古屋おすすめの焼肉屋さんも紹介しています。