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ステーキ屋さんや焼肉店で見かける、肉の最高級とも言われる「A5ランク」の牛肉。ここでは、A5ランクの表記の意味や、ランク付けのルール、トレンドなどを詳しく解説しています。
食肉のランク付けは、「歩留等級(ぶどまりとうきゅう)」と「肉質等級」によって決定されています。一般には聞きなれないこの二つの基準やこれから注目のブランドも解説していきます。
牛肉を格付けを行っているのは、公益社団法人日本食肉格付協会という団体です。1つの枝肉から取れる肉の量の目安である「歩留等級(ぶどまりとうきゅう)」(アルファベット表記)と 5段階の「肉質等級」を組み合わせて15段階に分けられています。アルファベット表記は、業者の人が取引する量の目安にするために使われている基準なので、味には関係がないのです。
むしろ重要なのは、肉質を表す数字表記の方といえます。「肉質等級」は、「脂肪交雑(サシの多さ)」、「肉の色沢」、「肉の締まり及びきめ」、「脂肪の色沢と質」の4項目を5段階で判定し、一番低い数字を採用しています。
アルファベット表記が味のランクではないことがわかると、A5ランクの牛肉が、必ずしもC5ランクの牛肉に勝るというわけではないことが理解できます。A5ランクは「一つの枝肉から取れる肉の量が標準よりも多く、サシが多く入ったきめの細かい牛肉」ということです。
霜降り肉が大好き、という方にとってはおいしい牛肉と感じられますが、脂身が苦手だったり、あっさりした味わいを好む人にとっては、必ずしも良いとは言えないでしょう。C5ランクは「取れる肉の量が標準よりも少なく、かつ肉質が良い」ので、A5ランクよりも実は希少な部位といえるかもしれません。
ブランド牛の代名詞として、かつては松阪牛や神戸牛があげられていましたが、ここ最近の注目のブランド牛は、東北です。 岩手や山形にはこだわりの生産者が多く、米沢牛はブランド基準に雌牛であることを掲げているので、一般消費者にも選びやすいのもうれしいです。 東北ブランドには肉のプロも注目しています。
日本だけでなく、海外でも牛肉のランク付けは行われています。
例えばオーストラリアでは、「MSA(ミートスタンダードオーストラリア)」という評価基準があり、「やわらかさ」を3段階に分けて評価しています。
アメリカの格付けは「プライムビーフ」と呼ばれるもので、スーパーでも見かけることがあります。「サシ」「味わい」「ジューシーさ」「やわらかさ」で最も高い評価がついている ものを指します。他にも「チョイス」「セレクト」というグレードがあります。
実は、豚肉にもランクは存在します。こちらは表記が、「極上」「上」「中」「並」とシンプルでわかりやすくなっています。 基準は「重量」「背脂肪」「肉質」「外観」などで判定されています。
鶏肉にはランクはありませんが、品種や飼育法で分けられています。普段よく食べられているのは「ブロイラー」と呼ばれるもので、ブロイラーの飼育方法を工夫しているのが「銘柄鶏」 です。「ブランド鶏」は、地鶏として、細かい規定をクリアしたものを指します。
人によって好む味は違うため、A5ランク=美味しさの最上級、というわけではないことがわかりました。また、和牛=霜降り肉のイメージも強いですが、「いわて単角牛」や「くまもとあか牛」など赤身のヘルシーさや噛み応えのある 食感をアピールしているブランドもあります。ランクに惑わされず、自分の舌で美味しいお肉を探してみてくださいね。